独自の会員システムを始めるワケ
出張における宿泊費は各社で規定が設けられている。過去の調査結果+筆者の取材経験では、一般社員で「1万円」が上限という例が多かった。以前の取材では「近隣の大企業社員のご利用が多く、1泊朝食付きで同社の規定内(当時は一般社員で8000円)で宿泊できるように企業努力しています」(北関東のホテル経営者)という話も聞いた。
だが、繁閑期で宿泊料金を変えるホテルも多く、コロナ前はこんな消費者の声があった。
「頻繁に東京出張しますが、急な出張の際、社内規定に合う宿泊先がどこも満室でした。あるビジネスホテルが空いていたけど、1泊1万5000円に急騰していたのです。その時はあきらめて、シャワー付きの簡易施設に泊まりました」(30代の男性=当時)
一方、入会金・年会費無料の会員を募集するホテルも多い。会員特典のひとつが「ベストプライス」で宿泊プランを最安値で提供するもの。ドーミーインも「Dormy’s」という名称で会員を多く抱えている。
ちなみに社内規程を超える場合の宿泊費は「数千円なら上長の許可でOK」という会社もあれば、「差額料金を自分で負担すればいい」会社もある。
「差額を自己負担してでも泊まってみたい」というお客さんには、ありがたい存在だ。ホテルも飲食店も「利用しようと考えた時、思い出してもらえるブランドは強い」という。まずは“選択肢という土俵”にいることが大切だからだ。