旧NISAでインデックスファンドが大流行した理由
全世界株式ではなく、米国株を選ぶ理由は単純に、過去の実績から見ると米国株のリターンのほうが高いことが最大の要因になります。
2023年で終了するつみたてNISAでは、インデックスファンドへの毎月定額つみたて投資が大流行していて、主要なインデックスファンドの純資産総額はぞくぞくと1兆円の大台を突破しています。
2023年7月末現在、純資産総額の多い順に並べると、
1位「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」2兆4610億円
2位「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」1兆3363億円
3位「楽天・全米株式インデックス・ファンド」1兆551億円
4位「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」1兆501億円
となっています。
「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」が2位に食い込んでいますが、そのほかの1兆円超えファンドはいずれも米国株に連動しています。
純資産総額の状況からも、2018年に始まったつみたてNISA経由で、多くの個人投資家の資金が米国株インデックスファンドに流れ込んでいることがわかります。
米国株式を選ぶ理由は、
(1)米国通貨ドルが世界の基軸通貨だから
(2)米国企業の多くは全世界で稼いでいるから
(3)米国株に投資するほうが全世界株式に投資するよりパフォーマンスが高い
(4)米国株を選択する投資家のほうが多い
といった点になります。
全世界株と同程度のリスクで年10%超のリターンを出してきた
金融商品を評価する際は、その金融商品が「どれぐらいのリスクをとって、どれぐらいのリターンを得ているか」を比べるのが一般的です。
リスクが低い金融商品はリターンもそれほど高くないのが資産運用の常識です。逆に、リターンが高い金融商品はリスクも高くなります。
しかし、1998年1月末~2022年3月末までのS&P500と世界株式のリターンとリスクを比べてみると、S&P500のほうが世界株式よりリターンが2%以上高いにもかかわらず、S&P500と世界株式のリスクには1%以下の差しかありません。
24年2カ月という期間中、S&P500は世界株式とほぼ同じリスクでありながら、それよりかなり高い、年率10%超のリターンを叩き出してきたということです。
この過去の実績が、全世界株式より、S&P500など米国株に投資したほうが、将来もいい結果を残せるのではないかという根強い期待感につながっています。
私もS&P500の優位性は否定しません。