“とにかく出す”精神で質を気にする前に量とスピードを

では、アウトプット思考になるためにはどうしたらよいのだろうか。時間に対する執着が大事というのは自分でその都度意識できるかどうかの問題なので、もう少し根本的な考え方を示したい。

まず、入社して間もないころに、80点の成果物を2日間かけて提出するのと、60点の成果物を1日で提出するのではどちらがいいと思うか考えてみてほしい。私の答えは、60点の成果物を1日で提出するほうだ。

100点以上で出すのが厳しいと分かり切っている状況なのであれば、早いほうがいいに決まっている。それに後者のほうであればおそらく、1日目の時点でフィードバックをもらい、修正することで2日目の時点では80点も超えられる。

多くの場合、「ちゃんとしたものを出さなきゃ」という意識が強すぎて、アウトプットの中身からこだわりはじめる傾向がある。決して、質を良くしようという心意気が悪いわけではなく、むしろその気持ちはあるに越したことはない。

ただ、入社して数カ月以内のころは、アウトプットの質よりもアウトプットの量と提出するスピードにフォーカスすべきだと思っている。入社してすぐの段階で、はじめから高品質の成果物を出すのは難しい。であれば、成果物の量とスピードで価値を出すのが分かりやすく信頼を獲得できる方法だろう。

時間をかければかけるほど、上司はどんなアウトプットが出てくるのだろうと期待して待つことになる。しかし、上司を待たせることほどにリスキーなものはなく、待たせた時間の分だけどんどん期待値は上がっていく。

そして、提出したときに期待値を超えられず、「こんなに時間かけといてこれ?」となってしまう。反対に、多少質が低くとも早く出すことができれば、まず、「お! はやいね」という反応がもらえる。

上司としても、「中身は直すところがあるけど、こんなに早く出してくれたのだから修正する部分があっても仕方ないか」となる場合が多い。

質は後から鍛えられる。それよりもまずは量とスピードで周囲をあっと言わせることのほうがよっぽど重要であろう。

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