連日、新たに報じられるキックバック疑惑

12月1日、安倍派にパーティー券にまつわるキックバック(還流)の問題が報道された後、翌12月2日には二階派にも裏金の疑いが指摘され、ついに12月8日には、松野官房長官に1000万円以上の裏金のキックバックが報じられ、政権の中枢を直撃するに至った。

これ以降も、12月9日には党役員の安倍派の現在の事務総長の高木毅国対委員長、萩生田光一政調会長、世耕弘成参院幹事長、そして座長の塩谷立氏、閣僚でも事務総長経験者の西村康稔経済産業相などにもキックバックの疑いが広がった。

12月12日には最大派閥である安倍派の議員側へのキックバックが5年間で総額5億円に上り、大半の議員がこのキックバック分を政治資金報告書に不記載であるということが大きく報じられ、さらに岸田派にもキックバックの疑いが指摘された。

こうした報道の連続は、国民に対して十分にインパクトのあるものである。もちろんパーティー収入の不記載は、与党だけではなく野党にもあり、立憲民主党の安住淳国対委員長も40万円の不記載を訂正したという。

「派閥と政党の連座制ペナルティ」が効果的か

このような問題が起こる背景には、第一に政治資金規正法の規定が不十分であること、第二には、派閥を中心とした自民党の政権運営の在り方があると考えられる。

第一の問題に関しては、今回の件で政治資金規正法の改正は不可避となったといえる。記載金額の下限をさらに引き下げるとか、あるいは政治資金収支報告書の不記載、虚偽記載の場合には「事務局と事務総長の連座制」を導入するなどの厳罰化によって再発防止に努める必要があるだろう。

政治家の側で政治資金の問題に対して透明性の確保ができないとすれば、政治資金を管理する第三者機関の設置も必要かもしれない。

第二の問題に関しては、派閥を中心とした政治資金の取り扱いに対して必ずしも十分なチェック機能が働かなかった可能性がある。政党や個人への監査は徹底して行われるが、「党内党」として隠然たる影響力を行使している派閥においては、他の派閥からもチェックが効かないほどに独立性が高いところもある。

さらに自民党の総裁が派閥の合従連衡で生み出されるとするならば、この派閥にまつわる問題の解消は難しい可能性もあるものの、政党に属する派閥、個人の不適切な問題が浮上した場合には、いわば「派閥と政党の連座制」ペナルティを課すことで、派閥の政治資金の透明性を担保できるかもしれない。例えば、国民が支払う税金が原資である「政党交付金」の政党に対する交付を減額するといった方法が考えられる。