事件を知る女性は「ホストに恋しちゃうと地獄だよ」

ホストクラブの営業時間は1部、2部、3部に分かれ、ホストも入れ替わる。最もにぎわうのが、夕方から午前0時までの1部だ。なお、2部は日の出から昼まで、3部は昼から夕方までだ。夜の早い時間帯には聞けなかった情報が、午前0時を過ぎると、徐々に集まってくるようになった。

「私知ってるよ」

キャッチやナンパに間違えられながら、道行く女性や周辺の店に聞き込みを続けると、午前2時近くになって、そう話す2人組の女性と出会った。どこかの雑居ビルから出てきた彼女たちの1人は「え、マジの記者さん?」と言いながら、知っていることを教えてくれた。

「あそこのビルから女の人が飛び降りて、下を歩いてる男の人にぶつかったのあったじゃん。その女の人は知ってるよ。正確に言うと、私の友達が知ってるんだけど」

10月2日夜にあった事件だ。頼むと、その場で友達に連絡を取ってくれた。飛び降り事件が相次いでいることは彼女も知っていて、そのまま私たちは話し続けた。

「聞いたらその子、ホストとトラブったんでしょ? ホスト、はまっちゃだめだよね。うちらも今ホストクラブで5時間飲んできて、これから2人でどこ行こうって言ってたとこなんだけど。ホストに恋しちゃうと地獄だよ。結局、向こうは金が目当てなだけだから。分かってるんだけど、うちらもダメだよね」

ホストにお姫様扱いされると好きになってしまう

ホストクラブの何が楽しいのか、何を求めて行くのか、どんな客が多いのか。根掘り葉掘り聞くと、あっけらかんと語ってくれる。

「スカっとするんだよ。話聞いてくれるし、めっちゃ持ち上げて、褒めてくれる。ストレスがたまったときとか、寂しいときに行く。やっぱり店では『お姫様』だし、今の担当は優しくて可愛いんだ。いるときは本当に楽しいよ。イケメンに聞いてもらっていると、『え、好き』とか思っちゃうことあるし、そういう担当に『来てほしい』って言われたら行っちゃうし。うちらもだけど、周りの客もだいたい20代前半とかじゃない? ハタチくらいの子、多いよね。地方から学校とか就職で東京に出てきて、ホストにはまって学校や仕事辞めて風俗で働く子なんてざらにいるよ。昼職じゃ払えないからさ」

写真=AFP/時事通信フォト
ホストクラブで、客(右)に付き添いながら酒を飲む男性ホストたち(=2017年1月27日、東京都新宿区歌舞伎町)