これはいわゆる「行為の強化」に関する実験ですが、行為は、その行為による報酬が必ず与えられるとわかっている時よりも、不確実に与えられる時の方がより効果的に強化される、ということです。

翻って、この実験結果を人間に当てはめて考えてみると、「不確実なものほどハマりやすい」という生理的傾向が、社会の様々な側面に応用されていることがわかります。

まずわかりやすいのがギャンブルです。ラスヴェガスのスロットマシンも日本のパチンコも確率を変動させながら報酬を与える仕組みになっていて、これにハマる人が後を絶たない。

数年前に社会問題になったコンプガチャも、まさに変動比率スケジュールによってレアなガチャが出る、という仕組みになっているわけで、こういう領域でいろいろとサービスを開発している人たちの人間性に関する洞察の鋭さには本当に戦慄せんりつさせられますね。

SNSにも実は「報酬」がある

そして最後に思いつくのがX(旧ツイッター)やフェイスブック等のソーシャルメディアです。もしかしたら「ソーシャルメディアが報酬系」と言われて違和感を覚える方も多いかも知れません。スロットマシンやパチンコはお金や景品という報酬があるけど、ソーシャルメディアにはどんな報酬があるの? という疑問ですね。確かにソーシャルメディアは金銭的報酬を与えてくれません。

ソーシャルメディアが人に与えてくれる報酬はドーパミンです。

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気がつくとX(旧ツイッター)やフェイスブックばかり見ている。メール受信の通知を見ると中身を確認せずにはいられない。こういった行為はドーパミンのなせる業だと考えられています。ドーパミンは、もともとはスウェーデン国立心臓研究所のアルビド・カールソンとニルスオーケ・ヒラルプが1958年に発見した物質です。