確実に取れると言えないのは、妊娠を報告した途端、「もともと更新するつもりはなかった」と雇い止めされる事例があるからだ。
「妊娠・出産を理由にした不利益な取り扱い(雇い止めを含む)は、男女雇用機会均等法によって禁止されています。そのため、企業は、『経済環境が悪化したので』などと別の理由をつけて雇い止めにすることがあります。不利益な取り扱いを受けたら、各都道府県労働局の雇用均等室に相談(無料)してください。法に定められた対応をしていない場合は、企業側に是正指導してくれます」
現実的に非正規労働者の育休取得には高いハードルがあるが、すんなり休む方法はないのか。
「これまで、契約更新のタイミングで特に話し合いがなく自動的に更新されてきた場合は、有期契約でも実質的に無期とみなされる場合があります。その場合は、先に挙げた要件と関係なく、正社員と同じように育休を取得することが可能です」
一方、毎回、契約の更新について確認があるなら、妊娠報告のタイミングを工夫したい。
「契約更新される可能性が高い場合、妊娠をすぐに報告せず、まず『次の雇用期間も働きたいのですが、大丈夫ですよね?』と聞いておくのです。契約更新の見込みがあると言ってもらい、それを証拠化しておけば、妊娠報告後に雇い止めを告げられても、妊娠を理由とする雇い止めであり違法だと主張できます」
このほか、契約期間中に出産に入った場合、期間までに復帰できるよう、その間だけ休むという妥協策もある。
育休取得のテクニックをいくつか紹介したが、現状では非正規労働者の立場が弱く、仮に育休が取れても、さらに次の更新で雇い止めされる可能性があるため、その対応も考えておかなければならない。妊娠・出産を控える女性は、立場上職場で孤立しがちであるうえ、不利益取扱いされやすい。専門家などに相談しつつ、どのようなやり方が最適か柔軟に考えたい。