価格上昇の最大の理由は「補助金の縮小」

なぜ、ガソリン価格がこんなに上昇したのだろうか。

その理由は簡単だ。

円安影響で原油の輸入価格を押し上げたこと。また、長期化するロシアのウクライナ侵攻で、原油価格が下がらず、またまた上昇傾向にあること。そして最大の理由が、政府が石油の元売り各社に支援補助してきた補助金が、徐々に縮小してきたことだ。

補助金の額は、原油価格の動きに連動する形で決まる。昨年の2022年4月〜12月には、1リットルあたり35円の補助金が入っていた。原油価格の高騰へ対応し、ガソリン価格上昇を食い止めるためだった。

しかし、その後、原油価格が少し落ち着きを取り戻し、今年6月以降は、下降傾向をみせていたため補助金が減っていく。

WTI(West Texas Intermediateの略。米国の代表的な原油で先物取引が行われ、原油価格の代表的な指標となっている)の先物価格は、今年に入って1バレル60ドルまで値下がりすることもあったが、8月には、80ドルあたりまで値上がり。サウジアラビアの自主的減産やコロナ後の世界的な経済の回転影響とロシアへの経済制裁などの複合的な影響で、原油は再び上昇傾向になっている。

そこにまた突然降ってきた、イスラエルとパレスチナ・ハマスとの戦火は、中東情勢に新たな不安定と怨嗟を巻き起こし、産油国サウジアラビア、エジプト、イランの動向が世界のオイルマネーに影響するのではないかとの懸念が広がる。実際にじわじわと原油価格も上昇傾向を見せているのが不気味だ。

国民は燃料節約のために努力しているが…

値段が上がるのは、ガソリンだけではない。それはそうだ。原油が上がるのだから仕方がない。例えば石油由来のプラスチック製品や日用品、トラックの燃料となる軽油も上がる。そうすれば物流費、配達費にも影響が出る。そして、灯油も上がる。

先日まで気温30度以上の日々が続いていたのに、秋が突然やってきた。北海道でも今年は、記録的な猛暑で10月頭でも30度近かったのに突然秋がきた。10月9日のスポーツの日には、北海道の各地の気温は軒並み20度以下になってしまった。そして、さらには、もう雪の便りも聞こえ始めた。ということは、北海道のみならず、日本中で灯油が必要になる日ももうすぐだ。そうなると、より国民の負担は増えることになる。

少しでも燃料費を減らそうとして、トラックの走行距離が短くなるように配達ルートや走行ルートを見直すなど、配達業者や運送会社もいじましい努力をしている。アイドリングを短くし、急停車をできるだけやめたりなどの工夫をし、燃料の節約を行っている。

この記事を読んでいるタクシーの運転士さんやトラックの運転士さん、そして普通のドライバーの皆さんも、きっと「節約運転を強いられているのに、ずっと高いガソリン代のまま。いったいいつになったら安くなるのだろう」と不満タラタラなのではないかと思う。私も同感だ。