日本人に希薄な「シティズンシップ」

最近、市民として社会に参加し、その役割を果たすための「シティズンシップ教育」という言葉をよく耳にします。

耳慣れない言葉かもしれませんが、シティズンシップとは次のように定義されています。

「ある共同体の完全な成員である人々に与えられた地位身分である。この地位身分を持っているすべての人々は、その権利に付与された権利と義務において平等である」

日本人には、このシティズンシップの意識が希薄のような気がしています。自分が社会を構成する一員であるにもかかわらず、自分とは関係のないところで社会のルールが決められ、それに文句をぶつけることなく従ってしまう。

主体的に生きると常識やルールを疑うことができる

ここで大事なのは、権利だけでなく義務もあるということです。

権利には、自由権や平等権、財産権などがあり、選挙権や被選挙権、教育を受ける権利や最低限の生活を保障される権利もあります。

ただ、その権利を主張するなら、当然、社会を構成する一員としての義務も果たさないといけません。社会をよりよくするために積極的に社会と関わる。そして、自分が社会を作っている一人だと自覚し、行動しなければならないのです。

日本人にはお上の文化があり、お上=統治者・国が国民を守ってくれる代わりに、お上の言うことは飲み屋で不平を言うくらいにしておいて何でも従うのが常識なので、いきなり考え方を変えるのは難しいかもしれません。けれど、そのような意識を持つことで、主体性が生まれ、他人軸の生き方から脱却できるのではないかと思っています。

廣津留真理『子どもも自分も一緒に成長できる これからの親の教科書』(KADOKAWA)

親のせいと思っていることも、結局は自分が親の言うことに従うと決めたからだし、学校のせいというのも、その学校に行くことを決めたのは自分。シティズンシップの意識が希薄で、自分が社会に参画しているという自覚がないと、社会が決めたルールや常識が絶対と思ってしまうようになります。

だから、「親の言うことは聞かないといけない」とか、「学校に行くのはルールだから」と思い込み、本当は自分の意思で決められることに気づかないのです。

一方で、自分が社会を作るメンバーであると自覚していれば、ルールや常識を疑うことができるのではないでしょうか。

そして、それが他人軸の生き方からの脱却につながり、ひいてはマインドブロックの解除にも役立つと思うのです。

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