23年3~8月期決算では過去最高益
このような状況下でもセブン&アイの業績そのものは好調です。直近の23年3~8月期決算では、売上5兆5470億円、純利益はそごう・西武売却による特別損失があり802億円にとどまったものの、営業利益で過去最高の2411億円を計上しています。
しかし中身をみれば、国内外のコンビニ業績に支えられた一本足状態です。国内コンビニ事業はインバウンドの回復もあって客数が増加。商品価格の上昇で客単価も伸びています。
問題はこの好調がいつまで続くのかがわからない点です。海外は昨年来の急激な円安とガソリン高の恩恵が引き続きあり、売上のかさ上げに貢献しています。一方でガソリン高の一服感もあって、先行きには不透明感も漂い始めています。
加えて米国のガソリン事業は、EV化の進展によって大きく影響を受けることが必至であり、同社にとっては早期に米コンビニ事業のテコ入れをはかっていくことが重要な課題となっています。
セブン&アイと対照的に高く評価されるイオン
したがって、最高益でも株価の反応は悪く、発表翌日は4%以上も株価を下げて終わっています。ライバルのイオンも同じく3~8月期決算を発表し、営業利益で最高益を計上しました。こちらはセブン&アイとは対照的に株価の反応が良く、発表翌日は決算内容を好感して約3%株価を上げています。
両社の株価の値動きは、市場からの期待値が反映されていると言っていいでしょう。
イオンは独自の経済圏確立が高く評価されています。具体的には、マックスバリュ、マルエツ、カスミの持ち株会社化以降、強化を続けてきた食品スーパー群と総合食品スーパーのイオンリテールとの相乗効果、イオンリテールを核店舗として各地で強い集客力を発揮しているイオンモール、スーパー業態との相乗効果を見込んで子会社化したウエルシアホールディングス、さらにはコンビニ業態を持たないイオンが食品事業という強みを活かした小型食品スーパー「まいばすけっと」の拡大展開などがあります。