「低温」「濡れ」「強風」に備える
この時期の登山を計画する際には、事前に天気予報をよくチェックし、悪化する予報が出ているときは、無理せず計画を中止・変更するのが賢明である。
また、天候の急変にも対処できるよう、冬山用の装備も必携だ。とくに多くの事故の直接的な死因となっている低体温症対策は、しっかりと行いたい。
低体温症というのは、産熱(体がつくり出す熱)と放熱(体外に放出される熱)のバランスが崩れ、適切な体温を維持できずに低下してしまった状態のことをいう。
発症すると、震え、判断力の低下、意識障害などの症状が現れ、重症化すると死に至ってしまう。
登山では「低温」「濡れ」「強風」の3つが低体温症を招く要因となるので、防寒・防風・濡れ対策が重要となる。もし低体温症の初期症状である震えが始まったら、速やかに低温環境から隔離し、高カロリーのものを摂取させ、保温と加温によって体温を低下させないようにする必要がある。
なお、アプローチにロープウェイなどを利用して容易に標高を稼げる高い山は、その手軽さから警戒心が薄れやすい。立山での中高年登山者の大量遭難事故が、まさにそうだった。
今の時期、くれぐれも油断してはいけない。