ビジネスは怒ったほうが負け

仕事ではもうひとつ、「怒らない」も大事にしています。20代のときに上司から「ビジネスは怒ったほうが負け」と教わったのがきっかけですが、正直、そのときはよく理解できていませんでした。実感を伴って理解できるようになったのは、30代に入ってからです。

撮影=プレジデントオンライン編集部
「ビジネスは怒ったほうが負け」をモットーとしている

さまざまな人と仕事をするうち、すぐ感情的にならない人のほうが長く仕事が続いているのを目の当たりにするようになりました。怒っている人からは人が離れていき、それに伴って仕事も離れていく。あのとき上司が言っていたのはこういうことなんだなと腑に落ちました。

ビジネスでは、腹が立つことももちろんあります。特にスタートアップの段階だと、物事の9割がたは思い通りにいきません。本当にイライラしますが、私はその場で怒ったり、不満や愚痴を言ったりしないようにしています。感情に任せてそうしたところで何も解決しないからです。

何か問題があったときは、それをどう解決するか前向きに話し合うのがベストでしょう。でも、さまざまな組織を見ていると、不満や愚痴を言い合うだけで完結してしまい、解決に至らないままのケースが少なくありません。これでは、また同じ問題が起きて同じ不満や愚痴を言う、その繰り返しになってしまいます。

不満を言い続ける人生は嫌だ

確かに、イライラを溜め込まないよう不満や愚痴を外に出すのも大事かもしれません。でも、言葉にすると一時的にスッキリして、何となく満足してしまうものです。そこで完結した気になってしまい、肝心の問題は解決しないまま。ずっと同じところを回ってずっと不満を言い続けている人に接した時に気づきました。「成長のない人生は嫌だな」と強く思いました。

今はイラッとすることがあったら、その場では言わずに家に持ち帰って、一度じっくり考えるようにしています。まずは「自分に非があるのかな」とかえりみて、そこを判断したうえで自分なりの解決策を考え、その後に皆と話し合いをするという流れですね。

これを続けていたら、自分の周りに自然と、問題が起きても不満や愚痴を言わず前向きに解決策を考える人たちが集まるようになりました。ビジネス面でも大きな収穫があったので、これは絶対に忘れちゃいけないと思い、今ではLINEのメモ機能に「ビジネスは先に怒ったほうが負け」というメッセージを固定しています。