変わる移動中行動

実際人々の移動中の行動様式は確実に変化してきている。一番わかりやすいのは待ち会わせだろう。携帯電話の普及により最近の待ち会わせは場所を細かく決めなくなった。「17時くらいに渋谷あたりで」と大枠だけ決めておいて後は直前に連絡を取り合いながらというスタイルがとても増えている。最近では旅行の計画も事前に綿密に決めることなく、現地で情報を入手しながら決める人が増えている。先日聞いた話ではビジネスホテルは現地でホテルを見てからその場でスマホを使って予約するという人も増えているらしい。

当然買い物などの購買プロセスも変わるだろう。これまでの「ぶらぶら買い物をする」というのはお店を見ながら、ということであったが、これからはスマホを見ながら、その場で行くお店を決めるというような行動も増えるだろう。そうなった時には「いまだけここだけあなただけ」という情報をどれだけタイムリーに提供できるかということになる。タイムセールなど限定感を感じさせることや、特別待遇などのあなただけのおもてなし感の演出などもこれまで以上に重要になるだろう。

PCにおけるECの世界は移動中でなく自宅のそれも夜という冷静な時間が多かったため、冷静に価格中心に比較されるということが事業者サイドとしては厳しいところでもあった。しかし移動中の「いまだけここだけあなただけ」の世界ではリアルの世界の特徴である衝動買いや気分がハイになっての購買などを促すことも可能である。ついつい、とか思わず手が出てしまうといった価格以外のアイデアで勝負する要素もまだまだたくさんあり、値引きだけでない商売の面白さを競う世界にITが活用できるという意味でも楽しみだと言えるだろう。