潜伏カルト化の怖れ…任意団体に転落でも宗教活動可能
旧統一教会を巡っては、これまでの報道のとおり、反社会的な団体であることは疑う余地がない。文科省が宗教法人法の「質問権」を行使した際にも、誠実に回答をせず、明らかに「公共の福祉」を著しく害している。旧統一教会への解散請求は、世論の多くが支持するだろう。
旧統一教会側は公式サイトで、
「昨年7月の安倍晋三元首相の銃撃事件後の様々なご指摘を受け、深い反省の中で9月に改革推進本部を設置し、更なる改革を断行してきました。それら十数年来の努力の結果として、現在では“教団解散の3要素”とされている『組織性』『悪質性』『継続性』のいずれも当法人には全く該当しないと自負しています」
などとして、反発を強めている。
解散請求後のステップは、裁判所による「解散命令」の可否である。解散命令が出れば旧統一教会は宗教法人格を失い、任意団体へと転落する。任意団体になれば、これまで宗教法人として優遇されてきた各種納税が義務となる。
つまり法人税、固定資産税、都市計画税などが課税される。相続税もかかってくるので、財産を維持しにくくなる。また、収益事業を実施しても、税制の優遇を受けられなくなる。教団運営にとっては相当な痛手となるだろう。
旧統一教会の本部は、高級住宅地として知られる東京都渋谷区松濤にある。当地の固定資産税は相当な額だ。それゆえ、本部の移転や支部の統廃合が進む可能性がある。すでに、旧統一教会は昨春に、東京都多摩市永山におよそ6300平方メートルの土地を取得。教団は東日本最大規模の研修施設にするとの方針だが、こちらへの本部移転も十分考えられる。近隣には国士舘大学や都立高校などが点在し、若者への勧誘活動を心配する声も上がっている。
旧統一教会が任意団体へ転落したとしても、宗教活動ができなくなるわけではない。税制面の特権や社会的信用はなくなるが、宗教活動自体はむしろ自由度を増すと考えたほうが良い。教団を分派化して、名称を変更し、水面下に潜ってしまう「潜伏カルト化」の可能性も視野に入れなければいけない。