「ミッション」「ストーリー」「アウトプット」を言語化しよう
実際、このタイプの人にこれまで従事してきた詳しい業務内容を尋ねても、あまり明確な返事は返ってきません。「そのプロジェクトであなたはどういう役割を担っていましたか」と聞いても、具体的なエピソードが出てくることは、まずないのです。
では、理想的な「職務経歴書」、「キャリアポートフォリオ」とはどういうものでしょうか。それは関わってきた仕事の「ミッション」や「ストーリー」を語れること、仕事において自分がどんな具体的「アウトプット」をしてきたかを語っているものです。
上司から与えられたタスクやToDoリストをこなしてきただけの人は、この「ストーリー」「ミッション」「アウトプット」を語ることができません。全体像を把握することも想像することもなく、ただ目の前の「作業」をこなしてきただけであることが、「職務経歴書」から透けて見えてくるのです。
採用担当者は職務経歴書の奥を見抜こうとする
当然のことながら、「会社としての業績」や「部署としての成果」=「その人の価値」ではありません。大勢が仕事に携わる組織での“華々しい成果”を披露されても、その人がどれだけ貢献したかは見えてきません。ややもすると、企業の実績にただ乗りするフリーライダーの可能性だってあるわけです。
「本当にこの人が大きな実績を果たしてきたならば、企業はその人を引き留めるはず。当人にしても、なにも実力を発揮できている会社から転職する必要はないはずだ」。下手をすればそんな勘繰りもされるかもしれません。
そうならないためには、「その組織の、どういう立場で、どんな役割を果たし、それが結果にどう結び付いたか」のストーリーをきちんと言語化する必要があります。
ストーリーは必ずしも華々しい成功エピソードで彩られていなくても構いません。なんだったら「起業して失敗した」「こういう企画を組んだが、意図せぬ結果に終わった」という失敗談であっても、そこに明確な意思と意欲さえあれば、採用者は納得します。大切なのは、その“失敗”から何を学んだか。その学びを次にどう活かしたいのか。その知見はこの企業でどう役立つのか。そうした深いところを、採用者は見極めたいのです。