先端分野の製造技術育成にも孫氏が必要だ

いつまでも、この状況が続くとは考えづらい。鈍化したとはいえ、米欧で消費者物価の上昇率は2%を上回っている。金融引き締めの長期化や、米国の景気減速などによって成長期待の高さが押し上げたIT先端企業の株価は下落し、ビジョンファンドが損失に直面するリスクはある。中国で不動産バブルが崩壊し、景気減速の懸念が高まったこともビジョンファンドの運営には逆風だ。

一方、今回のIPOのように投資家として孫会長の力が有効である間、長期的にビジョンファンドは相応の成果をあげるだろう。景気の減速などによって多少のスピード調整があったとしても、世界全体でAIの利用は増加する。世界経済のデジタル化も加速するだろう。宇宙開発や次世代の高速通信などのためにも、AIの重要性は増す。

その中で、アームの果たす役割は高まりこそすれ、低下するとは考えづらい。同社の成長を支えにビジョンファンドは新しい投資先を発掘する。その企業が成長すれば、SBGの業績も拡大するだろう。そうした投資事業の運営に加え、ぜひ、孫会長には、先端分野の製造技術の育成などの点でも、わが国の産業界に能動的に関与してもらいたいものだ。

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