第三者の目を届かせるべき
協会は「各大学において規則等を定め、適切に対応しているものと理解しております」と話すが、適切に対応しているのかどうかの検証はない。
このように大学内のハラスメントが横行し、「野放し」のような状態になっているのは、大学に限らず教育現場でのハラスメントを解決する機関や機能を、文部科学省が持っていないことも一因だと考えられる。
ハラスメントの防止や起きた事案について適切に対処できるかどうかは各大学の対応次第のため、ばらつきが出てくるのは当然だろう。しかも、調査を担当するのが学内の関係者という大学が多く、第三者の目線を入れずに実際に機能していると言えるのかどうかは疑問だ。
言うまでもなくハラスメントは人権侵害だ。とりわけ大学内のハラスメントは、絶対的な上下関係のもとで発生し、しかも研究室など閉ざされた空間で起きることが多いため、実際には泣き寝入りしている人も多いだろう。
ハラスメントを受けて大学を去るようなことにあれば、研究者や学生の場合はそれまでの努力も失われ、人生も大きく狂わされてしまう。歯止めをかける仕組みがなければ、教育・研究機関としての組織が崩壊することもあり得る。常に第三者が調査に入ることや、大学のハラスメント対策に取り組む機関を設けるなど、国を挙げた新たな対応策が必要ではないだろうか。