「株主総会に行く」「企業の原点を全部回る」
【渡部】文化という面では、我々はフィールドワークも大切にしています。野村證券では23年間、頭でっかちの机上の空論をやっていました。それが恥ずかしくて、辞めて最初にやったのが「株主総会に行く」ことと「企業の原点を全部回る」ことです。
「企業の原点」は、これまで60カ所以上回りました。
最初に行ったのが茨城県日立市にある日立創業の掘っ立て小屋で、ここが日立製作所の発祥の地。次がトヨタ自動車の発祥の地。
続けて、住友グループの原点である別子銅山から東洋一の亜鉛鉱山「神岡」など、さまざまな場所に行きました。
「投資ツーリズム」を広めたい
【渡部】4番目に行ったのが、日本の株式市場の父・渋沢栄一の深谷駅、富岡製糸工場、生家、渋沢栄一記念館で、この時にはまだお札になることも、ドラマになることも決まっていませんでしたが、結果論として、先見の明があったかもしれません(笑)。
「複眼経済塾」では、定量と定性、フィールドワーク、先ほどお話しした歴史などを重視して、自分の好きな企業を応援しようという方法をとっています。
私は、この延長線上に「投資ツーリズム」というものを考えています。
投資も最初は、「儲けた」「儲からない」でいいと考えています。
しかし、そうはいっても、会員のみなさんは知的好奇心も非常に高いので、いずれ、「この企業って、どういう歴史だったっけ?」と気になってきます。その時、私たちが行っているフィールドワークをモデルに、「企業の原点」を回ることをもっと広めていきたい。
投資人口が増え、みんなが投資先の会社の原点を回るようになると、投資からのツーリズムが生まれ、地方創生になるのではと願っています。