学校でICT機器を使う国ほど学力が低いという不都合な真実

また教材がスマホやタブレットになっても、辞書だけは紙の辞書にする、などうまく組み合わせれば効率を得ながら、記憶に残すことができます。これからは、そういう流れになっていくでしょうね。

すでに世界の調査では、ICT機器を使った学習に取り組んでいる国ほど、学力が低いという結果が出ています。コロナ禍で休校せざるを得ない場面では、オンラインがあって助かったのも事実ですが、この5月に新型コロナウイルス感染症が5類に変わり、授業が対面に戻り、今まさに学校現場でも取捨選択が求められているときです。

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成績を上げたければ紙と鉛筆のアナログ勉強に逆行せよ

先生たちも何でもかんでもコロナ禍のやり方を残すのではなく、ここは良かった、ここはダメだったということを、子どもの姿を見ながら選びとってほしいですね。

子どもの情報活用能力を高めようというのがGIGAスクール構想の目指すところですから、やはり場面に応じて、先生たち自身で、それが必要かどうか見極めて使ってもらいたいと思います。

榊浩平(著)、川島隆太(監修)『スマホはどこまで脳を壊すか』(朝日新書)

もちろん子どもたちも、自分で選びとる度胸をもってほしいです。先生や学校からタブレットでこれをやれと言われたけれど、紙でやらないと覚えられない、効果は出ないぞ、と気づき始めている子もいるのではないでしょうか。

周りがみんなスマホを使っている中、自分だけが使わなければ、平均以上の成績になれる。そのことをすでに感じとっている子も少なくないでしょう。

極端に言えば、中学受験や高校受験を控えているとき、スマホやタブレットでの勉強を止めて、紙の辞書を使ったりノートに書いて学習したりすれば、ライバルに差をつけられる。また、タブレット学習を中心にしていて成績が伸び悩んでいるときにも、デジタルからアナログへの移行は、試してみる価値があると思います。