捜索活動を率いたコロンビア軍のペドロ・サンチェス大将はウォール・ストリート・ジャーナル紙に対し、生存へ導いた要因が4つあると語る。すなわち、生きようとする意志、強力な免疫力、先住民の知恵、そして健康状態の良さだ。サンチェス氏はまた、「5つ目を加えたいと思います。奇跡です」と語った。

近代的な軍の装備、伝統的な先住民の知恵

捜索活動が成功した理由は何か。CNNは「彼らの発見には、130人以上の特殊部隊と、この国で最も熟練した先住民ガイドのチームを要した」と述べ、「ある意味で4人の子供たちは、伝統と近代性の融合によって救われた」と指摘する。

軍はGPSや高度な無線通信を投入し、ジャングルの上空を400時間以上飛行した。食料の詰まった箱やサバイバルテクニックを指南する大量の紙片を上空から投下している。しかし軍の精鋭部隊であっても、ジャガーやアナコンダなどの野生動物が跋扈ばっこするアマゾンを安全に捜索するためには、現地ガイドの助力を欠かすことができなかった。実際、彼らを発見したのは、先住民4人からなるチームであった。

豪ABCによると、光さえ満足に届かないジャングルの奥深くで食糧供給が難航し、墜落から16日後ごろになると合同捜索チームの士気はみるみる低下したという。ガーディアン紙によると、捜索が2カ月目に突入したころ、捜索隊の一部メンバーが帰国。統合司令部も解散したという。

この困難な状況において、先住民は長老や賢者などの知恵を生かしながら捜索を続けた。軍の兵士にジャングルでの行動方法や足跡の読み方などを教え、協力して捜索に当たったという。

4きょうだいは無事に保護できたが…

子供たちが無事に救助された今、コロンビア軍にはもうひとつの課題が残されている。捜索に投入され、行方不明になっている救助犬ウィルソン(犬種はベルジアン・シェパード)の保護だ。5月18日に目撃されたのを最後に行方が分からなくなっている。

写真=コロンビア軍ツイッターより
行方不明になった捜索犬

レスリーさんは遭難中に何度か犬と行動を共にしたと語っており、これがウィルソンではないかと考えられている。コロンビア軍のスポークスパーソンはCNNに対し、「子供たちは3~4日間ウィルソンと共に過ごしたが、ウィルソンはかなりやせ細っていた(と言っている)」と明かした。捜索は困難になり得ると認めながらも、「われわれには『誰一人決して見捨てない』との格言があります」と強調している。

軍のヘルダー・ジラルド大将は「われわれは現在、およそ70人の特殊部隊を投じて彼を探している」と述べ、ウィルソンの発見に至るまで捜索作戦を継続する意志を示している。

4人を生還に導いた救出作戦は、「オペレーション・ホープ」と呼ばれた。その名の通り、希望を捨てなかった軍と先住民族の献身的な努力、そしてなにより4人自身の生きようという強い意志が結実し、民族の差異を超えた救出作戦の奇跡的な成功に至った。

レスリーさんが護り抜いた4つの命は、諦めなければ叶う願いがあることを強く示し、コロンビアと世界の希望となっている。

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