これから回復する製造業、好調の非製造業
図表3には日銀短観の数字も出ています。3月調査が最新の数字なので、少し時間が経っていることに注意が必要ですが、大企業製造業の数字が落ちているのが分かります。この調査は、景気の状態が「良い」と答えた人のパーセンテージから「悪い」と答えたパーセンテージを引いているものです。
大企業製造業は、もともとそれほど良くなかった数字が悪化しました。2022年の半ばからの数字が出ていますが、半導体不足や中国のゼロコロナ政策やその後の混乱の影響が出ています。ただ、表にはありませんが、鉱工業生産指数の動きを見ていると、年初1月に90.7で底を打って、3月には95.7まで戻しており、徐々にですが回復がうかがわれます。先に見た自動車販売の数字とも呼応しています。
一方、非製造業では、数値の改善が顕著です。日銀短観では「良い」、「悪い」の他に中間的な回答も認めているため、3月調査の「20」という数字はかなり良い数字です。飲食やホテルの回復が牽引しています。
今後は中国からの団体客の増加も予想されます。2022年の150円程度までの円安ではありませんが、現状の140円程度の為替水準も以前に比べれば、訪日外国人からすると「バーゲン」で、今後も訪日客は増えることが予想されます。
中小企業を含めた賃上げの状況は、正確な統計が出るまでにはしばらく時間がかかりそうですが、インフレもピークを過ぎ、2022年はピークで前年比49%まで上昇した輸入物価が直近で10%を切っていることなどを考えれば、インフレももうしばらくすればかなり収まるものと考えられます。賃上げと総合して考えれば、インフレ鎮静化は景気には良い影響を与えると考えられます。