ちなみに、坂井は岩渕のことを「ぶち君」と呼ぶ。
「ぶち君は、対応が早いし、お店の若い子たちからも人気が高いですね。彼は新潟でナンバーワンシェアを取るのに協力してほしいという熱い気持ちを本当に持っている。そこにキラー商品のプレゼンを貰ったわけだから……」
「新店舗で他社を振ったと」
「いやいや、古い店のビールは他社さんから切り替えていませんよ。そういうことをすると、僕の人間としての価値が落ちるような気がする。他社さんだって献身的にやってくれているわけだから」
人間としての価値……。
「風味爽快ニシテ」の鮮烈なブルーのように、胸に刺さる一言だった。