パワーも燃費も問題なし

同時にボディカラーは前述したアース系のメタリックが選べますし、他のSUV風スーパーハイト同様ブラックのルーフレールやグレーのガード風バンパー類を採用。

インテリアはブラックを基調としたワイルドなもので、シート表皮には汚れや水に強い撥水加工が施され、あえて凸凹ワイルド感のあるテクスチャーを使用しています。

筆者撮影
ブラックを基調としたインストルメントパネルに、ホワイトのカップホルダーが映える

スペースは厳密にはよりホイールベースの長いN-BOXに負けますが十分。リアシートスライドも付いており、多人数が乗る時はヒト優先、荷物が多い時は荷物優先にもできます。

さらに52psのノーマルエンジンと64psのターボエンジンを選ぶことができ、全車マイルドハイブリッド付き。パワー的にも燃費的にも過不足なし。N-BOXを超えることはありませんが、不満はでないはずです。非常に計算しつくされた出来栄えなのです。

筆者撮影
後部座席は広々としていて余裕がある

透けて見える三菱の危機感

という具合に一見、遊び心から生まれたような新型デリカミニですが裏を返せば、かなりの三菱自動車の危機感が垣間見えます。なぜならこのモデルは明らかに突発的に生まれているからです。

実はデリカミニは完全なる新車ではありません。デリカミニのベースになったのは2020年発売の「eKクロス スペース」であり、ある意味、そのビッグマイナーチェンジ版であり、イメチェンのあまり車名まで変えてしまったわけです。かなり例外的に。

写真提供=三菱自動車
2020年に発売された軽スーパーハイトワゴン「eKクロス スペース」

本来的にはeKクロススペースを6年ぐらいは作り続ける予定だったはずです。いくら日産「ルークス」との共同開発(両車は日産と三菱自動車の合弁会社NMKVによって商品企画や開発が行われ、三菱自動車水島製作所において生産)とはいえ、たった2年では開発費は回収できません。

eKクロススペースは2022年にeKシリーズ全体で2万7000台ほど売れています。月販平均ではおそらく単独1000台ほどでしょう。三菱としては売れているほうですが、最強の競合車であるN-BOXが多い月には2万台前後を販売していることを考えると少なすぎたのです。

よって異例に早い大リニューアルを行うことになったと思われます。歴史ある「デリカ」の名にかけて。