人は誰かに自分の話を聞いてもらいたい
人は誰かに自分の話を聞いてもらいたがっています。これは普遍的で永久的、つまり今後もなくならないことです。
もちろん、そんな行為は愚かだと考え、自分ではしないように気をつけている人も多いでしょう。
しかし、夜の街でお金を払って話を聞いてもらう人、同僚や後輩に話を聞かせたがる人が、どれだけ多いか。年配者だけではありません。若くても自分の生い立ちや半生を語りたがる人は多いものです。
自分の体験や考えを話したがる人は多く、口頭だけでなく、感じたことをわざわざネットに書き込んだりする人もいるわけです。
そうした中で、自分の顧客が本人のことを話しはじめても、何ら不思議はありません。
彼らは、あなたやあなたの考えにはまるで関心を示さず、自分のことばかりを聞かせようとするかもしれません。
そんな人の話に付き合うのはイヤというのは、当たり前の感覚です。
しかし、彼らに何かを売りたければ、そんな話は聞きたくないと態度に出すのは得策でないことは、あまりに明白です。
我慢を続けると体を壊してしまう
「一方的にしゃべり続ける顧客にうんざり」。こう感じるのは自然ですが、相手に気分よくなってもらう接待なしでは、多くのビジネスが立ち行かなくなります。
顧客の顔色をうかがったり、ご機嫌を取るのも仕事のうちと考え、それは世の中に普通にあることと「あらためて自覚」できたら、その上で、どうされたいかを再度考えてみることをお勧めします。
私はここで、イヤな話でも聞き続けるべきと、お話しするつもりはありません。
くだらない話を続ける顧客の相手など、多くのビジネスパーソンにとって当たり前。それは仕事の一部に過ぎない――こう考えることができれば、そのエキスパートとして、優秀な聞き手を目指すことをお勧めします。
聞き上手になってみようと思われた時には、聞き方のテクニックを学ぶことで、自己のストレスは緩和しながら、スキルの上達を目指すこともできます。
しかし、「イヤだと思う話を聞き続ける」のは、切実な問題にもなり得ます。
私はこれまで、接待を仕事の一部とする商社の人などが、若い頃から毎晩のように飲酒を伴う接待を続けて、40代で病気になってしまうケースを数多く見てきました。
あくまでも(医学的な知識のない)私個人の思うところに過ぎませんが、お酒を飲むだけでなく、我慢して人の話やわがままを聞く人が、頑張り続けると体を壊しやすいように思えるのです。
一方的な話を聞き続けるのは、それなりのストレスが伴います。ですから、相談者の方には、必ずしも我慢を続けることはお勧めしたくありません。
百戦錬磨の強者でも、苦手な顧客はいたはずです。そうした意味で気楽に、よくあることに直面していると考え、現状にどう対処したいのかを考えてみましょう。