徹底駆除・防除で駆逐に成功した指宿市では…
2011年に農水省から侵入害虫の専門家として指宿に派遣された僕は、最前線で防除にあたっている地域の担当者から説明を受けた。そして指宿市の徹底的な防除に感嘆した。
発生地域でのサツマイモの栽培禁止はもちろんのこと、市内でノアサガオの徹底的な除去を行い、さらに、近所の方々で相互にヒルガオ科植物の発生を監視する組織体制までつくられたという。これらの植物にイモゾウムシが寄生するからだ。
そういう行為を住民のあいだに慣習化させたのだ。
夏休みの日記に定番のアサガオのスケッチができない子供たちはかわいそうに思えたが、そこまで徹底してこそ、指宿市は2012年に2種類のゾウムシの完全な駆逐に成功したのである(5)。
地道な「不妊化法」作戦も
今回の浜松への侵入も駆逐できることを切に願う。しかし昨年12月までに見つかったアリモドキゾウムシの数は「467頭」である(6)。油断はできない。
ゾウムシは、侵入初期であれば、現地の方々の懸命な対応でいずれも数年以内で根絶に成功している。
さらに、アリモドキゾウムシが古くから蔓延していた南西諸島でも、性フェロモンによってオスをモニタリングして発生地域での生息密度を下げ、寄主植物をできる限り取り除いたうえで、不妊化したオスを放って野生のメスと交尾させる、いわゆる「不妊化法」(「政府が決して言わない、進化生物学的に見て危険な『日本のワクチン接種計画』の“あるリスク”」参照)によって、この虫の根絶作戦を展開してきた。
そして沖縄県では、久米島で2013年(7)、津堅島で2021年(8)に根絶に成功している。