欧米のシンクタンクの見解も「機密文書」と一致
ロシアによる侵略戦争は許されるものではなく、ウクライナとしては当然ながら自国の領土を護る権利がある。軍事国家の増長を許せば国際平和への悪影響は明らかであり、アメリカはじめNATO加盟各国はプーチン氏の策謀の阻止に動いている。
ところが、これまでロシアの想定を超えて良好に機能してきたかに見えるウクライナの防空網は、極めて危ういところにまで追い詰められているようだ。ペンタゴンから流出文書した文書は、そのすべてが真正であると確認されていない点に注意が必要ではあるものの、欧米のシンクタンクは防空網崩壊のおそれを認める見解でおおむね一致している。
今後の状況のいかんによっては、ロシアの巡航ミサイルにより効果的に対処すべく、NATOが戦闘機の供与を本格化する展開も考えられよう。ポーランドとスロバキアは3月、ウクライナに対してMiG-29戦闘機を供与すると表明した。
同機は2004年、ドイツからポーランドに22機が引き渡されており、第三国への提供にはドイツの承認が必要となっていた。ロイターは4月14日、ウクライナへの5機の供与をドイツが承認したと報じている。
供与される戦闘機にもロシアの罠が仕掛けられていた
一方、スロバキアからのMiG-29はすでにウクライナに到着しているものの、戦闘に投入できる状態ではないようだ。英テレグラフ紙は、スロバキアのヤロスラフ・ナド国防相による国会での答弁を取り上げている。
それによるとナド氏は、飛行はできるが戦闘に堪えない状態であると述べた。昨年までスロバキアの空軍基地に勤務していたロシアの技術者が、損傷した部品を意図的に同機に取り付けていた疑いがあるという。
ウクライナはアメリカに対し、F-16の供与を切望しているが、バイデン大統領は現時点で否定的だ。費用に加え、実戦配備までに1年以上を要する点を考慮すると、現実的でないとの立場だ。
5月にも崩壊が懸念される防空網の維持に向け、当面綱渡りが続きそうだ。