変動10年国債は金利上昇中

■個人向け国債(変動10年)

国が発行している債券の中で、個人でも買いやすくしたものを「個人向け国債」といいます。個人向け国債は毎月発売され、1万円から購入可能。個人向け国債を買うと、半年に1度利息が受け取れるうえ、満期になると貸したお金が返ってきます。

個人向け国債には「固定3年」「固定5年」「変動10年」という3つのタイプがあります。

満期になる前でも、発行後1年以上たてば換金できます。その際、直近2回の利息に当たる金額が差し引かれますが、元本割れはしません。

個人向け国債の利率は、最低でも年0.05%が保証されています。2022年中頃まで、個人向け国債の金利は3タイプとも0.05%の下限で設定されていました。しかしこのうち、変動10年国債は2022年8月、固定5年は2022年12月から、金利がじわじわ上昇してきています。2023年4月時点で、変動10年国債の金利は年0.30%、固定5年の金利は年0.14%にまで上昇しています。

おすすめは「変動10年国債」です。今後金利が見直されて上昇した場合に、持っている国債の利率が上昇し、利息が増えるのは変動10年国債のみだからです。

変動10年国債が参考にしている金利は、10年固定利付国債の基準金利です。この基準金利に0.66をかけた利率が利払日ごとに設定され、変動10年国債の適用利率になります。計算した結果0.05%を下回っても、0.05%の最低金利が保証されています。

青が10年固定利付国債の基準金利、オレンジが基準金利×0.66の数値です。オレンジのグラフは、途中長らく0.05%の最低金利が適用されていますが、それが直近上昇していることがわかります。

変動10年国債は金利収入がほしい人向け

変動10年国債のメリットとデメリットは、次のとおりです。

●変動10年国債のメリット
①預貯金よりも安全! 日本一低リスクの資産
②中途換金しても元本割れしない
③金利が上昇すれば、もらえる利息も増える
④インフレに比較的強い
⑤最低でも0.05%の金利がつく
⑥手数料がかからない

預貯金より安全な、日本一低リスクの資産です。国が潰れるとしたら、その前に銀行が潰れるはずですから、銀行の預金より安全です。

またインフレ(物価上昇)になると、インフレ抑制のために金利が上昇します。つまり、変動10年はインフレに比較的強い資産です。

●変動10年国債のデメリット
①購入から1年間は中途換金できない
②中途換金すると、直前2回分の利子を返還
③自動積立ができない
④利子は現金で払い出されるので複利運用できない

毎月発行されるので毎月購入できるのですが、自動積立はできないので、毎回購入手続きする必要があります。

●変動10年国債が向いている人
・元本割れしたくないが、預金利率よりは高い金利でお金を増やしたい人
・定期的に金利収入が欲しい人
・まとまったお金を用意するために数年間で運用終了の可能性がある人
・複数の銀行ですでに1000万円の口座がいくつかあり、無リスク資産の置き場所に困っている人

※預金保険制度に加盟している金融機関が破綻した場合、1金融機関につき、預金者1人当たり元本1000万円とその利息は全額保護されるが、それを超えると保護されない