EUと中国の急接近は日本の脅威となる
政治的にも、ロシア=ウクライナ情勢の悪化が、EUと中国の接近を促した側面があるのではないだろうか。戦争の長期化を受けて、EU側では支援疲れが顕在化している。情勢の悪化を受けてエネルギー価格が再び急騰するような事態になった場合、厭戦ムードのみならず、ウクライナに支援を続けるEUへの反感が、EU各国で高まりかねない。
実際のところ、欧州委員会の「我田引水」的なスタンスに鑑みれば、EUと中国の関係改善が一気に進むとは考えにくい。一方で、双方が妥協できる範囲においては、少なくとも経済協力に向けた機運は徐々に回復してくのではないだろうか。EUの各国レベルでは、中国との関係改善を模索する動きが確たるものになっている
そして、EUと中国の経済関係の改善が進めば、双方の市場で双方の企業が存在感を高めることになる。EU企業が中国でプレゼンスを高めてくれば、対中ビジネスを重視する日本企業にとっては脅威である。実際、どこまでEUと中国の経済面での関係改善が図られるか定かではないが、そうであるからこそ、日本も動向を注視する必要がある。
(寄稿はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です)