「死にたい」という思いを乗り越え家を出ることに
これ以上いたらほんとうにおかしくなるって考えたんです。それでバイトを細々とやって、お金を貯めて、やっと家を出ました。保証人のいらない安いアパー卜を探して。
それから、じゃあゼロからスタートして良くなったかっていうと、まったくそういうわけではありませんでした。いままで自分が20年間教えられてきたことが、もうずっと頭にも心にも染みついちゃってて、ゼロからじゃなくてマイナスからのスタートなんです。
症状もぜんぜん良くならないし、またパニック発作みたいなのが出て、そのときにもう1回入院もしているんですよね。体の震えがもっとひどくなってて、痙攣してる状態が続いて、これは絶対に何かおかしいんじゃないか、病気なんじゃないかと思って、神経科に入院させてもらいました。そこで心電図を撮ったり、いろいろと調べてもらったんですけど、特に異常がなくて。
その病院に勧められて行った精神科で精神安定剤を服用したら結構症状が落ちついたので、精神的な病気だったんだと気づきました。でも、自分はこれから精神科に通うことになり、いつ治るかもわからず、病気の人として生きてくんだとわかって、ほんとうにつらくて死にたくなりました。
そこで自分は親に向けて手紙を書いたりして、実際に死のうかなと思ってたんですけど、「手紙書いても、この文章を親が読んでも、教会の考えに従って都合よく解釈するだけだろうな」とか、「自分の問題として向きあってくれることはないんだろうな」と考えると腹が立ってきて、何としても死にたくないと思いなおしました。
脱会して4年ぐらいは後遺症に苦しんだ
それから心理学の本を読んだり、自殺したいと思っていた人の話をネットでいろいろ読んで、パニック障害についても調べて、具体的に何が起こっているのかを理性的に考えるほうが、自分にはすごく合っていたことを実感して、そこから症状は良くなっていきました。
いまだに自律神経が悪く、たまに吐き気がしたり、めまいがあったりというのは残ってるんですけど、パニックの症状はだいぶなくなりました。脱会してから6年たっていますが、洗脳とか、恐怖信仰のようなものも、いまはほぼありません。ただ、トラウマは今でも残っていますし、4年間ぐらいは症状がまだ出たりして苦しんできた時期があって、やっぱり簡単に解決できることじゃなかったし、すごく苦しかったなっていう思い出です。