Z世代と中年世代を捉えたゲオのリユース事業

ではなぜゲオではブランド品のリユースが横ばいなのか? おそらく客層の違いでしょう。私の自宅は日本有数の歓楽街である歌舞伎町に近く、新宿東口にはKOMEHYOや大黒屋といったブランド品を扱うリユース店が多く存在しています。

そういったブランド系のお店にも私はよく行くのですが、客層としては買う人はいわゆる富裕層、売りに来る人はあまり見た目で判断してはいけないのでしょうけれどもホストやキャバ嬢風の方が多いように感じます。これは要するにゲオの顧客層ではないのでしょう。GEOや2nd STREETの店内で見かけるお客はもっと庶民が中心です。

この庶民というキーワードであらためてゲオを捉え直すと、ゲオが成長する理由がよく理解できます。Z世代と中流ではない中年世代、このふたつの庶民層にとってゲオはライフスタイルにぴったり合った流通業態になっているのです。

いらないものは売るZ世代にうってつけ

Z世代は持続的なライフスタイルに敏感です。昭和世代のような消費世代ではなく、必要なものを買い、いらないものはリユースに出す。商品を循環させることができるゲオのサービスは使い勝手がいいのでしょう。

中流ではない中年世代にとって節約は重要です。昨今の値上げラッシュでは生活防衛にはなおさら力を入れなければなりません。それでリユース品で家計の支出を抑えるというのは極めて自然な流れです。なにしろ日本の中古品は結構品質がいいのです。そして先述したように新品のデジタル周辺機器が地域最安値で手に入るというのも実はこの客層にフォーカスした品ぞろえとして理にかなっているわけです。

わたしの家族は全員、iPhoneはリユース品を使っています。昭和の世代なので基本的には新品を消費することに慣れている世代なのですが、iPhoneの場合はリユースでも新品感覚で使えます。きれいな状態のリユース品を買ってきてスマホケースに収めて、ガラスフィルムを貼って、バックアップしておいたデータを復元すれば新品と同じ使用感になるのです。それなのに新品よりもずっと安いので、iPhoneはリユースに限るとわたしは思っています。