「プロダクトアウト」と「マーケットイン」の切り口

一つは、ステップ1で明らかにした「自分がもらった価値」を切り口に考えます。「過去の自分のような境遇の人に届けたい(助けたい)」という自分の価値を中心に考えるパターンです。

たとえば、音楽によって「自分の感情に素直になる喜びを知った」という価値を受けたとしたら、過去のあなたと同じように「自分の本音がわからなくなりがち」な人の気持ちを反映させた商品やサービスに携わる資格があると言えるでしょう。

二つ目は、社会課題を解決する切り口です。

たとえば、高齢者世帯が増え、元気な方も多い現在、高齢者も楽しめるエンタメが求められているとします。そういった社会の大きな流れの中で、課題を解決する価値を提供したいといったパターンです。

前者は、自身の経験に根づいた感性豊かなプロダクトアウト(作り手が作りたいものを売る)の方法である一方、後者は社会や市場の流れを見たマーケットイン(市場が必要とするものを提供する)の方法です。

社会が求めている価値に気づく糸口

もちろん、2つの経験をミックスすることも可能です。

たとえば、配偶者が亡くなって以来、塞ぎ込みがちだった自分の祖父・祖母が、音楽によって心を開くようになった。高齢者の孤独は、社会問題になっている。こうした課題を解決するために、音楽を活用するビジネスに自分の経験を役立てたいといったことも、「鋼の志望動機」にできます。

あなたも仕事を通じて、「こういう人が増えている」「顧客企業からこんな要望をもらうことが増えた」と感じた経験があるのではないでしょうか?

その感覚は、「社会が求めている価値」に気づく糸口です。ぜひ、そのヒントを見逃さずにいてください。社会の流れやビジネスチャンスを反映させた志望動機をつくれます。あなたが情報感度の高い人だと企業に伝わるでしょう。

ステップ5では、入社後にどんな改善策と行動を予定しているのかを、具体的に伝えます。ファンと提供者の意識は180度違います。ファンであればただ商品やサービスを享受すればOKですが、提供者は「企業の成長」のために働きます。