ケネディ大統領の父親が投資に成功したワケ

1920年代、ジョセフ・P・ケネディさんは、ウォール・ストリートで投資に成功、相応の富と名誉を手に入れました。のちに政界に進出し、息子のジョンさんがアメリカの大統領になります。そのケネディさんがある日、ウォール・ストリートで、靴磨きの少年に靴を磨いてもらっていたときのことです。

どうみても株や金融と関係なさそうなその靴磨き少年が、「ウォール・ストリート・ジャーナル」を愛読していて、ケネディ氏に「○社の株は絶対買ったほうがいいよ」と勧めました。さすがにケネディ氏がどんな人かは知らなかったでしょうけど、少年のこのような話に、ケネディ氏は直感しました。「ああ、株の大暴落が近い」と。そして、持っていた株を処分し、それから起きた経済大恐慌による被害を最小化できました。私が見た番組の人も、ケネディ氏に株を勧めた靴磨き少年と似たような境遇だったかもしれません。

その番組の数年後、サブプライムローン事態が起き、多くの人たちの人生が、次々と台無しにされていきました。あのとき家の壁を増築していた人も、この靴磨き少年のような人たちではなかっただろうか、と私は思っています。

借金地獄に苦しんでいる「サントゥ組」

そして、何か「事態」が起きたとき、真っ先に被害を受け、崩壊していくのが、彼らです。韓国では、彼らのことを「サントゥ(ちょんまげのようなもの)を掴んでしまった」とも言います。何かの価値が上がると話題になって、その市場にあとから入ってきて、その価値が頂点に達したときに買ってしまう人たち。先にその市場に入ってきた人たちが、価格が下がる前に「処分」する条件を盛り上げる人たち。バブルが弾けると、真っ先に倒れるのは彼らです。

シンシアリー『韓国の借金経済』(扶桑社)

このDSRで苦しんでいる人たちも、全員ではないにせよ、そんな「サントゥ組」が大勢含まれていることでしょう。これでも、まだデータが記事に載ったのが11月である点を考えると、2022年10月12日の0.5%ポイント引き上げと、11月24日の0.25%ポイント分の引き上げは反映されていません。これから数年の間、このDSRの動きを見れば、サブプライムローン事態へ直行するのか、奇跡的に回避できるのか、大まかには予想できるでしょう。

ちなみに、いまは直行コースです。サブプライムローンのとき、アメリカの可処分所得対比家計債務が130%台でした。韓国の家計債務の場合、すでに2008年に138%を超え、2020年時点で200%を超えました。

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