自分たちだけの狭い世界でネタを作らない
Beach Vは、新ネタを生み出すチャレンジの場所。ネタを育てる作業は、外のライブでやってくれ。芸人にはそう伝え続けています。Beach Vは、ネタを磨くのではなく「芸の幅を広げる」ための場所なのです。
また、「同じことをやり続けるな」ということも伝えています。具体的には「同じことをやったら、もう次は出さんぞ!」と言っています。そのため、例えば、漫才をやっているコンビがコントをやってみる、ボケとツッコミを逆にしてみる、女装をしてみる、などの工夫が生まれます。ちなみに、90年代後半は『オンエアバトル』(NHK)・『エンタの神様』(日本テレビ系)・『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ系)などのヒット番組に出演すれば、人生が変わるチャンスがありました。ならば、ネタ作りもヒット番組に当てはめるネタ作りを目指さないと、芸人としての近道に進めません。
これでうまくいったのが、バイきんぐです。今では小峠がツッコミ・西村がボケという構図がお馴染みですが、元々は役割が逆でした。
芸人は、第三者に「面白い」と思ってもらえるかどうかが大切な世界です。自分たちだけの狭い世界でネタを作るのではなく、第三者の意見を反映し、変えていくことがブレイクへの近道です。
5年後、10年後も生き残り続けるために新ネタを作る
テレビでネタがウケたとしても、流行り廃りがあります。同じ切り口でネタをやり続けても、いつしか飽きられてしまうものです。
同じことばかりやっていたら、ネタの流行が過ぎたときに芸人もろともテレビから消えることになります。5年後、10年後にも残り続けるために、新ネタを作りチャレンジし続ける必要があるのです。
安価で気兼ねなく使える常設のライブハウスがあることは芸人には大きなメリットがあります。
ピン芸人の「ジャック豆山」は次のように言っています。
「私は今46歳で、まったく売れていません。でも、芸人を続けられています。なぜなら、Beach Vという小屋があるから。ここでは、SMAの芸人であれば誰でも主催ライブを開くことができるのです。
Beach Vでは、芸人同士でネタのダメ出しをし合うのはもちろん、別劇場でも、同じライブに出演しているとSMA芸人同士でダメ出しをし合います。こういう雰囲気は、ほかの事務所には無いと思います。
同じ事務所に所属していても、芸人はライバル同士。ダメ出しは『敵に塩を送る』ことになるので、あまり積極的にやらないと聞きます。所属芸人同士でネタの話をこんなにする事務所は、ほかに無いと思います」