諦めずに向き合うことで光が見えてくる

川畑智『さようならがくるまえに 認知症ケアの現場から』(光文社)

なぜ私たちは、身体や頭の調子が低下した状態の人に、規則正しい生活を求めてしまうのだろうか。制限をかけるのではなく、本人のしたいようにさせ、そこをサポートすればいいだけの話である。

「僕も、風邪をひいたときや残業で遅くなったときは、お風呂が面倒になります。まして飲んで帰ってきたときは、お風呂のことなんてすっかり忘れてベッドに倒れ込んじゃいます。自分でもいやなことを無理強いしていたんですね。母を再びお風呂に入れるようにしてくれて本当にありがとうございます」と息子さんはお礼を言ってくれた。

湯川さんのように一度ダメになったとしても諦めないでほしい。その理由を紐解いて、つなぎ直していくと、改善していくことは可能なのである。そこで諦めると、それ以上の結果は絶対に見込めない。けれど諦めずに向き合うことで光は必ず見えてくるものだ。

関連記事
妻がうつ病に…「なぜ」という夫に精神科医が「原因を探るのはやめたほうがいい」と諭すワケ
「ねえ、ラブホいかへん?」夜の街で家出少女に声をかけられた牧師はどう答えたか
「脳トレはほぼ無意味だった」認知症になっても進行がゆっくりな人が毎日していたこと
「朝食は何を?」「ふかふかのごはんと焼き鮭を…」ニコニコとそう答えた父が認知症と判定されたワケ
子どもに月経や射精について話すときに「絶対使ってはいけない言葉」2つ