ジェンダーギャップ指数偏差値1位は東京都

都道府県ごとに政治分野のジェンダーギャップ(2022年1月基準)を比較したものが【図表2】である。これは「地域からジェンダー平等研究会」(筆者と竹内明香・上智大学経済学部准教授、事務局は共同通信社)が指数化し、各都道府県におけるジェンダーギャップを政治、経済、行政、教育の四分野において算出したものである。

※数値は2022年1月1日時点で最新 出所=『さらば、男性政治

政治分野として計測したのは歴代の女性知事の着任年数、女性首長がいる市町村の割合、都道府県議会の男女比率、市町村議会の男女比率、女性ゼロ議会の割合、都道府県内の小選挙区から選出された衆議院議員(比例復活は含まない)および参議院選挙区の男女比率である。

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鹿児島市役所

上位5位は東京、神奈川、新潟、千葉、京都で、下位5位は島根、鹿児島、青森、大分、石川である。女性国会議員がいないのは16県にも上る一方(九州5県、四国3県と西日本に多い)、新潟と山梨では国会議員が男女同数である。

※数値は2022年1月1日時点で最新 出所=『さらば、男性政治』 出典=三浦まり、竹内明香上智大学経済学部准教授「地域からジェンダー平等研究会」(事務局:共同通信社)

女性は地方議員から国会議員になるキャリアパスがない

都道府県内の市区町村議員における女性割合と都道府県議会の女性割合には相関関係が認められるが(有意水準5%)、都道府県議会と国会の女性割合にはそのような傾向が見られない。つまり、女性の市区町村議員を増やすことは女性の都道府県議会議員の増加に繫がるが、都道府県議会に女性が増えても必ずしも女性の国会議員が増えるわけではない。

逆も真なりで、山梨は国会議員は男女同数だが、県議会には女性が1人しかいない。男性議員とは異なり、女性の場合は都道府県議会議員から国会議員になるキャリアパスが標準となっていないのである。

様々なデータから日本における女性政治家の少なさは世界の動向から大きく引き離されていることが判明している。ただし、国内での格差も大きい。衆議院で女性が一割にも満たないことが世界ランキングを引き下げており、また人口の少ない地域を中心に女性ゼロ議会も多く残存する。他方で、参議院や都市部の地方議会では女性が2~4割を占めるまでになっている。

つまり日本全体で停滞しているわけではなく、衆参両院の差が大きく、さらに地域間格差も大きいというのが実情である。このことは、女性の政治参画を阻む条件が衆議院の選挙制度のあり方や地方政治において存在することを示唆する。それらを取り除くことが、男性政治から脱却するための課題であることが見えてくる。