「投資の知識」を過信しすぎるのも危険

株式投資をするとしても、表面的なことだけ覚えて投資を始めてしまって、しかしその後国の経済が大きく変化して、大きなトレンドが変わっていることに気づかずに大損してしまうこともあります。

先の例では、あるべき株価というものを考慮せず投資するという(でも世の中でけっこう見られる)投資のパターンをあげましたが、もう少しだけ勉強した状態を考えてみましょう。

たとえば、「株の投資には目安があって、その会社の1年の利益の15倍くらいがよいのだ」ということは、基本としてよく学びます。これを覚えたとします。

イラスト=妖次郎
出所=『お金以前

図表1のような1株あたりの利益が100円の会社の場合、売られている株価が1300円なら、あるべき姿より200円安いことになります。この人は、買いという判断をするでしょう。これは「あるべき株価はいくらか」ということを考えているだけ、随分と進歩しています。

しかし、実はその国では深刻なインフレが進行して金利が上昇していたとします。そうなると1500円どころか本来は1300円でも高いということもあります。ここで、あるべき株価が1500円だと思っていると、1300円でも安いと思って買ってしまうかもしれません。

これは、インフレが進行しているという世の中の大きな動きに気づいてないから起こる、判断ミスです。

こういうことも、お金のことを基礎から知らないがゆえに起きるのです。

感覚で投資してはいけない

もう少し例をあげましょう。

土屋剛俊『お金以前』(日経BP)

「昨日の株価から2割も下がったのでもう買ってもいいだろう」と判断することもよくあります。たとえば、先ほどの会社の株が何かの理由(画期的商品を開発したと投資家が思い込むなどで上がることはよくあります)で3000円まで上昇して、その後2割下落して2400円になったとします。昨日まで3000円だったものが、2400円になったのですから、割安に感じてしまいます。

しかし、あるべき株価は1500円なのですから、2400円だったとしても高すぎる状態ということになり、ここで買うのは愚の骨頂です。

「相対的な感覚で投資する」こともやめましょう。

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