医療費、医薬品代が多くかかった人は要チェック

ケース2.医療費がたくさんかかった人

医療費を多く支払った人は、「医療費控除」が受けられるかもしれません。医療費控除とは、1年間に支払った医療費が10万円を超えた場合、そこから10万円を引いた金額が所得から控除されるものです。課税対象となる所得が少なくなる分、税金が安くなり、納めた所得税の一部が還付される、というわけです。

医療費が年間32万円、所得税の税率が20%の人の場合、22万円(32万円-10万円)が所得から控除され、4万4000円(22万円×20%)が還付されます。ただし生命保険や医療保険などから給付金を受け取った場合は、その分を医療費から差し引く必要があります。

対象となるのは、医療機関に支払った医療費、医薬品の代金、通院のための公共交通機関での交通費などで、家族の医療費も合算できます。離れて住んでいる親に仕送りしていて、その中から医療費を支払っている場合などはその分も対象になります。

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自己の判断で受けた新型コロナウイルス感染症のPCR検査の検査費用は対象になりませんが、検査の結果、「陽性」であることが判明し、治療を受けた場合には、対象となります。またリラックス効果を得るためのマッサージ代や審美のための歯科矯正費などは対象になりません。詳細は国税庁ホームページに記載されています。

ケース3.医薬品を多く買った人

コロナ禍では医療機関での受診を控え、市販薬を服用して自宅療養した人も多かったのではないでしょうか。医療費の自己負担が10万円に届かなくても、健康診断や予防接種を受けた人が、「スイッチOTC医薬品」に指定された医薬品(パッケージなどに記載あり)を年間で1万2000円以上購入した場合には、「セルフメディケーション税制」が適用されます。1万2000円を超えた分が所得から控除されるもので、所得が減る分、所得税が安くなります。