「ダイバーシティは女性だけではない」の大問題

「もう女性だけ優遇しても仕方がないじゃないか。ダイバーシティは、女性だけの問題ではないだろう」。制度が整って、課長レベルくらいの女性管理職がそれなりに増えてきた昨今、男性からこんな声が聞かれるようになりました。まだ女性管理職比率が1割にも達していない、また課長レベルはそれなりにいても、上級管理職は極めて少ない企業で堂々とこういうことを言う男性がいるようです。

木下明子『図解!ダイバーシティの教科書』(プレジデント社)

もちろんマイノリティは女性だけではないですし、ダイバーシティは外国人、LGBTQ+の方、障碍者やシニアの方などが対象になります。しかし、ほとんどの日本企業で最大のマイノリティは、全人口の約半数を占める女性です。多くが男性と同等レベルの教育を受け、文化や言語の壁もない女性すら、まともに活躍できていない企業で、ほかのマイノリティの方々が活躍する余地があるはずがありません。

とにかく女性管理職比率が極端に低い日本企業においては、まずは女性活躍なしにダイバーシティもインクルージョンもあり得ません。ほかのマイノリティの方々の施策は後にしろと言っているのではなく、可能であれば、どんどん同時に進めていけばいいだけの話です。実際、先進企業といわれる企業は、おおむねさまざまな施策を並行に進めています。どのテーマも施策は違えど、多様な人が活躍できるという点では同じですので、一緒に進めていけば、誰にとっても働きやすい環境づくりができるはずです。

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