ところがTikTokでは、インフルエンサーではない若者の投稿が、なぜか突然バズることがあります。「声をかけてください」と伝える動画がバズれば、インフルエンサーのようにフォロワーに声をかけられるという非日常を楽しめるのです。これは、TikTokならではの特性を生かした手法と言えるでしょう。
例えば、みたんさん(@.miyeon_)の動画「12月24日のディズニーシー」です。「シャボン玉持ってる人見かけたら声かけてください!」というコメントをつけて、シャボン玉を飛ばしながら園内を歩く姿が投稿されています。再生回数は65万回を超えました。ハロウィーンのコスプレ姿で「ユニバ(USJ)で声かけてください」と呼びかける善ちゃんさん(@zenchan__)の動画は、34万回近くも再生されました。
いずれもすでに削除されていて見られませんが、「プチインフルエンサーワナビー」動画は1日経ったら削除されることがほとんど。1日だけインフルエンサー気分に浸るという意味で、「1DAYインフルエンサーワナビー系」と言えると思います。
「平成の男子高校生」を再現する動画が680万回再生
また、Z世代の男子が、平成中期の学園ドラマに出てくる男子高校生のヘアアレンジなどを再現する「なりきり平成中期男子系」も人気です。今の高校生のファッションは当時に比べておとなしい。その一方で、幼いころにテレビで見たシーンに憧れのような感情を抱いているのかもしれません。
例えば、ななし。と申しますさん(@_nanasi_)は「2007年の男子」というシリーズを投稿しています。680万回再生された12秒の動画「2007年の高校生がやっていそうなヘアアレンジ3選」では、ヘアピンで再現できる髪型を紹介しています。
起きたばかりのようなだらしない部屋着スタイルから、ハイブランドのモデルのような姿に変身するビフォー・アフターものも人気です。「ギャップブランドチャレンジ系」とも言えるジャンルです。
特にバズったのが、コスプレ動画などを投稿するマツヤマイカ(まいか)さん(@maichannn)の動画「誰でもGUCCIのスーパーモデルになる方法」です。髪がボサボサで部屋着姿の投稿者が、家にあるジャケット、サングラス、スカーフ、ゴム手袋などを使ってGUCCIモデルのように大変身する内容です。48秒のこの動画は720万回以上再生されています。
このジャンルの投稿は非常に多く、バズっている動画もたくさんあります。ごく普通の子たちも、ちょっとした工夫でインフルエンサー気分を味わえる。それがTikTokの大きな特性であり、Z世代の心をつかんでいる理由ではないかと思います。