離婚したら借金だけが残るリスク

今は銀行が貸してくれるので、頭金なし100%ローンで家を買った人も多く見かけますが、原則として、頭金のない人は家を買ってはいけません。

意外なリスクは、離婚です。結婚したばかりでマンションを買っても、数年経って別れることになったら、マンションを売らなければならない事態に。

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もし、残りのローンが2500万円のとき、マンションが2000万円でしか売れなかったら、500万円のローンだけが残ることになります。ある程度頭金を入れておけば、ローンだけが残る事態を防げるのです。

家を買うならある程度の頭金を貯めてから買いましょう。

家賃=住宅ローンでは比較できない

不動産会社は、「あなたの給料ならば頭金なしでもこの家が買えます。住宅ローンは月10万円ですから、家賃より安いのでは。イザとなったら売ればよいのですから」と無責任にいいます。

しかし、賃貸なら備え付けのエアコンや給湯器、トイレなどの設備機器の費用も全部家賃に入っており、もしそれらが壊れたら大家さんが修理代を出してくれます。

ところが、自分で購入した物件は、設備機器を全部自分で付けなくてはなりません。お風呂が壊れたら大きな出費になるでしょう。

さらに安くはない固定資産税も毎年納めることになります。そのようなことを考慮せずに家賃と住宅ローンの金額を単純に比較することはできません。

賃貸なら近隣トラブルが起きたら引っ越せばいいのですが、買ってしまったら簡単には売ることができません。転職やリストラで収入が減った場合も、賃貸なら安いところに住み替えられますが、住宅ローンがあるとなかなか住み替えは難しくなります。

毎月10万円の負担でも、家賃と住宅ローンは同じではないのです。

100万円残し、あとは全部頭金にする

公務員として働き続け、60歳まで安泰という人は頭金なしの100%ローンを組んでもよいですが、人生山あり谷ありいろいろある時代、この先どんな仕事に就くのかも変わっていくはず。頭金をできる限り多く入れ、ローン負担を軽くすることがリスク回避になります。

以前は「頭金は物件価格の2割」が定説でしたが、多いぶんには悪いことはありません。10割あれば10割がベスト。今は低金利なので、銀行に置いてもあまりお金は増えません。

それならばイザというときのために100万円の現金を手元に残し、残りはすべて頭金に入れたほうが、その分の住宅ローンの金利を払わずに済みます。