だが、中村健二税理士事務所の中村健二氏の試算では、年収600万円の夫と専業主婦の妻に、3歳以上中学生までの子が2人いる世帯の場合、所得税・住民税の増税額の合計は年14万2000円。新しい児童手当が年額24万円だから、まだ手当額のほうが多い。

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※年額。夫婦2人、妻は専業主婦、3歳以上中学生までの子供2人の家庭をモデルに、子ども手当13000円支給・所得税の年少扶養控除なしの2011年度初めと比較。年収400万円世帯の住民税アップ分が多いのは、調整控除額の減少分が他の年収帯より多いため。

「ただ、1人当たり月1万3000円を支給されて扶養控除もあったころと比べると、目減り感は大きいと思います」と中村氏。ちなみに同じ条件で、年収が児童手当の所得制限を超える場合は、月5000円の移行措置を考慮に入れても、年9万8000円ものマイナスになる。

家計にとって悪いニュースはもっとある。3月30日、政府は消費税を14年4月1日から8%に、15年の1月1日から10%に引き上げる消費増税法案を閣議決定。中村氏の試算では、消費税が10%にアップすると、年収600万円の世帯では年に12万8400円、800万円の世帯では16万8000円の負担増となる。

さらに、2011年11月に成立した復興財源法で、所得税は13年1月から25年間、税額が2.1%分上乗せに。住民税は14年6月から10年間、全納税者に年額1000円が上乗せされる。どう考えても、この先わが家の実質所得が目減りすることは避けられないようだ。

「そもそも、92兆円という国の予算の半分以上を、国債という借金でまかなっている状況は明らかに異常です。どこで返すかといえば、増税しかない。各種の社会保険料の値上げや、将来の年金の減額も避けられないでしょう。今までと同じお金の使い方をしていては苦しくなると思います」(中村氏)

どうにか負担を軽くする方法はないのか。税金だけに、逃れる方法はあまりなさそうだが、今ある制度を上手に使うことで税負担を減らせる可能性はあると中村氏は言う。