受けていれば助かったという保証はない
厚労省が言うように、日本人は二人に一人ががんになるというのであれば、逆に二人に一人はがんにならないということです。
一生、がんにならない人には、何度も受けるがん検診がすべて無駄ということになります。医者仲間の集まりで、私ががん検診を受けないことを公言すると、「そんなことを言うてて、いざがんになったら、検診を受けといたらよかったと思うのちゃうか」と、突っ込まれますが、それはなんとも言えません。
ただ、がん検診を受けなかったおかげで、それまでに時間的、経済的、労力的な不利益を免れ、その分、好きなように生きた事実がありますから、先にいいとこ取りをしたのも同然です。
それに、がんで命を落とすことになっても、検診を受けていれば助かったという保証はないですし、ましてや、毎年、厚労省の推奨するがん検診をまじめに受けていたのに、別の臓器のがんになどなったりしたら、悔やんでも悔やみきれません。
それならはじめからがん検診など受けず、自由気ままに生きるほうがいいと、私は思うのですが、それでもやっぱり検診を受けたほうがいいと思う人が多いのであれば、それすなわち心配を好む文化でしょう。