顕在ニーズより潜在ニーズのほうが重要

例えば、もっと痩せてスリムになりたいという思いがあるとします。それは自分でも意識している顕在ニーズですが、「ではなぜ痩せたいと思っているのか?」という点が重要です。潜在ニーズはそこに潜んでいるからです。

痩せることによって、モテるようになりたいのか、周囲から褒められたいのか、それとも健康になりたいのか。

そのあたりは潜在化していることが多く、実は「痩せたい」と言っている本人さえも、なぜ自分は痩せたいのか、本当の理由に気づいていなかったりするのです。

顕在ニーズよりも潜在ニーズのほうが重要です。

顕在ニーズはわかりやすいニーズなので、企業側もそのニーズに応える付加価値をつくって提供することは比較的容易ですが、潜在ニーズは、お客様も気づいていないので、それを叶えるためには、より深い付加価値を探り出す必要があるからです。

より細分化した付加価値の全体像を見てみましょう。

図表1を見てください。

出典=『付加価値のつくりかた』(P.66)

原価のすぐ上の部分にあるのは、顕在ニーズに支えられている付加価値です。

そしてさらにその上に、顕在ニーズを超えて、お客様も気づいていない潜在ニーズを叶える、「より深い付加価値」の領域があります。

「まだ誰も叶えたことのない価値」をどう探すか

私が以前、在籍していたキーエンスでは、この「お客様も気づいていない潜在ニーズ」を、徹底的かつ的確に探り出し、そのニーズをもとに開発・設計した製品によって、お客様に付加価値を提供し続けています。

さらに、「お客様のニーズ」のラインと「より深い付加価値」の間には、「まだつくられていない付加価値(新創造価値)」と言うべき領域があります。「まだ誰も叶えたことのない価値」が生まれる可能性のある、未知の領域です。

この領域を、徹底したコンサルティングセールスによって探り、新たな付加価値を備えた製品を生み出す。

それがキーエンスの作り出す「世界初・業界初」の商品です。

この「より深い付加価値」と「まだつくられていない付加価値(新創造価値)」を生み出すための、潜在ニーズを的確に引き出していく方法は、第3回で詳しく説明します。