「ベーシック長期販売型」のユニクロ対「トレンドセッター」型のZARA

ちなみに、「トレンドセッター」型のZARAは消費者に対して「絶対的感情価値」を訴求することに優れており、粗利益率も57.1%と高い。

写真=iStock.com/tupungato
ZARAは「絶対的感情価値」を訴求することに優れている(※写真はイメージです)

これは、トレンドリサーチャーが購買心理を把握し、計画通りの素材活用と生産を行い、必要以下の量の商品を世界の店舗に都度配送し、値引きせずに売り切る、というZARAのビジネスモデルのたまものである。

「ベーシック長期販売型」で、価格と商品価値のバランスと新商品開発力を競争優位性とするユニクロとは対照的だ。

ユニクロの場合は、高コスパのベーシック商品に特化することで、低い値引率を実現している。

このビジネスモデルの違いが、6.8ポイントもの粗利益率の違いになり(販売管理費率はユニクロが逆に3.2ptも低い)、利益率の違いにもなっている。

アジア市場でZARAに勝るユニクロ

まだこれだけ差があるにもかかわらず、いずれZARAがファーストリテイリングによって1位の座を脅かされると考える理由はどこにあるのだろうか?

その理由は「展開エリア」にある。

ZARAとユニクロの最大の違いは、経済が停滞する「地球の北部」(欧州・北米)市場をメーンターゲットとしているか、これから伸びる「地球の中央部」(アジア市場)をターゲットにしているかの違いといわれている。

特に、成長著しいのが中国マーケットで、これをけん引するのはECだ。

年率25%で成長しており、すでに中国ECアパレル市場は25兆円規模と言われている。

図表2はZARAとユニクロのアジア地域店舗数の比較である。

欧米で高いシェアを持つZARAであるが、アジア市場の店舗数はユニクロの1/3ほどしかないし、主戦場となる中国での店舗数もユニクロの4割程度の水準にとどまっている。