野球地図をどんどん変えていきたい
部員は今春の登録時で60人強。全国的に名前の知られた日大三や専大松戸といった有名校出身者もいるが、甲信越のシェアは9割近いという徹底ぶり。投手は21人が登録されていて、4人以外は甲信越出身者だ。甲子園にレギュラーで出たという選手は1~2人だという。
それでも、同リーグに所属する群馬県の上武大など強豪と接戦できるレベルまで上がってきた。「これから野球地図をどんどん変えていきたい」と清野はいう。
強くするだけではない。清野は地域に愛されるための社会連携活動にも積極的だ。4年ほど前から保育園、幼稚園に出向いて「遊ぼーる」という野球教室を開いている。元は市内の野球場管理会社の代表が「野球人口減少をとめるため、保育園を回ったらどうだろう」と発案。投げる、打つ、走るを教えるスキームも作った。これが大好評で少年野球チームの指導者、父兄にも市内を60のエリアに割り振って担当をしてもらって続けている。県知事賞を受けるなど地域への貢献度が高い。
野球界の抱える危機感は増している。野球は子供たちに選ばれないスポーツになっているのだ。それは過去の人気にあぐらをかいていたツケだ。
松本周辺でも高校の野球部は合同チームが増えているし、リトル&シニアリーグはSNSなどで評判のいいチームの一極集中になって、他のチームは消滅危機に瀕してしまう。
昔はクラスで一番、運動神経のいい子は野球をやっていた。今はサッカーやバスケットボールのほうが人気がある。園児が野球の楽しさをわかってくれたら、うれしいという一心で続けている。
「うちみたいに、やりたいことがあれば、辞められるとか、アルバイトもできるとかいったことを認める。“別の角度”で野球をやらないと、今の時代はダメなんだと思います」