フィナンシャル・タイムズ紙は、WeChatおよび中国版TwitterのWeiboにおいて、「数千人のユーザーアカウントが無効化された」と報じている。あるユーザーは同紙に対し、決済以外のすべてのサービスが無効化されており、サービスの停止措置は「決して解除されることがない」と窮状を訴えた。

停止措置を受けたユーザーは、結果として家族・友人とのチャット履歴や共有された写真などを失う。あるデザイナーは記事に対し、「多くの人々とのつながりを失いました。思い出も喪失しました。可能性を失ったのです」と唇を噛む。

権力のためならどんな手段もいとわない強権ぶり

消された人は、何もSNSのアカウントや一般市民だけではない。

中国の胡錦濤国家主席、2011年11月2日(写真=The Press Service of the President of Brazil/CC-BY-SA-2.0/Wikimedia Commons

党大会の最終日。胡錦涛前国家主席が途中退席する一幕があった。海外メディアが大きくに報じる一方、中国国内では報じられなかった。ロイター通信は、中国版TwitterのWeiboで、胡前主席の名前を含む投稿やコメントが検索できなくなったと報じた。

中国国営の新華社通信は10月22日夜、ツイッターの英文アカウントで「この式典(閉会式)中に彼(胡錦涛前国家主席)が体調を崩すと、健康担当の職員が会場に隣接する部屋まで付き添い、休憩を取らせた」と投稿した。今度はツイッター上で、同様の趣旨を発信する謎のアカウントが大量に表れる異常な現象も発生した。

3期目留任を決めた習近平氏は、悪びれることなく自身の派閥で固めた人事を発表し、以前にも増して独裁色を強めている。もはや指導部内には強行的な政策を止める人物がほぼ存在せず、タカ派路線と民衆の抑圧に歯止めがかからない。3期目どころか、生涯にわたってトップに君臨し続ける意向ではないかとの疑念もささやかれるほどだ。

トップダウンの締め付けで政権の安定をねらう習氏だが、民衆の不満は高まる一方だ。ここ数年では反政府運動の展開が極めて限定的であったが、ついに市民の我慢も限界に達したようだ。身を挺して中国社会の異質さを訴えたブリッジマンをきっかけに、政権への疑念が人々の心にたぎりつつある。

10月13日の朝、高架橋にはためいた抗議のメッセージ。横断幕とくすぶる煙はそのまま、民衆による反旗と反撃ののろしとなるだろうか。

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