「数字の定義」をはっきりさせることで惑わされなくなる
正しい意味づけをするために、「%」という数字を見たときには、もとの数を明らかにすることが必要です。そういう意味で、私はテレビCMや街中で目にする「当社の製品は、顧客満足度がなんと90%!」といった広告表現は(制作者の方には申し訳ないのですが)、ほぼ信じていません。
決してウソをついているとかだまそうとしているとか申し上げているのではありません。その数字だけでは評価しようがありません、ということです。あなたがこれから実際に「当社の製品は、顧客満足度がなんと90%!」といった説明を受ける場面があったら、迷わず次の指摘をすることをおすすめします。
「その満足度という数字の定義を教えてください」
この問いをされた側は、どんな人に、何人に対して調査をし、どんな手法で測定した数字なのかを説明することになるので、数字の正体を明らかにせざるを得ません。数字がなんらかの作為的なものであったとしても、ここで正しく情報を引き出し評価すればあなたはこの数字にだまされることはありません。
キラーフレーズは「その数字の定義を教えてください」
「○○%増えました」という表現には注意が必要
「このサプリを試してもらったところ、効果を実感した人が10%増えました!」
これもまた、テレビCMや街中でよく目にする広告です。「じゃあ、ちょっと試してみようか」と思う方もいるでしょう。しかし私であればこの情報だけでサプリを試してみる気分にはなれません。理由は前項でお伝えした通り、「%」という数字を見たときには注意すべきことがあるからです。そこで次の例を考えてみましょう。
ある健康食品会社が顧客の協力のもとサンプリング企画を実施するとします。サプリAを愛用している100人のうち10人が効果を実感していますが、その100人にサプリBを試してもらうことになりました。冒頭の表現を再び登場させましょう。
「このサプリを試してもらったところ、効果を実感した人が10%増えました!」
ここで問題です。サプリBを試してみた結果、効果を実感したと答えた人は何人でしょうか。