存在感を示すためにも「空白期間」は許されない
今回の「イプシロン」も、固体ロケットという技術的特性もあり、マイナス効果は大きい。迅速な原因究明によって、再開への道筋をつける必要がある。
昔の話になるが、「イプシロン」の前身のロケットを開発していた1960年代には、年間30回近くも打ち上げることもあった。失敗も数多かったが、それでもとどまることなく次々と挑んだ。
「日本のロケット技術を確立させる」という大目的のための特例期間ならではのことだろうが、いったん開発すると急速に政治や行政の関心が薄れていく。
現在の宇宙政策の議論を見ていると、「ロケット技術は確立した」として、さまざまなビジネスモデル、コストダウン策、海外への売り込み、技術流出防止策、法律などが論じられることが多い。
それらも重要なことだが、技術がきちんとできていなくては、目的を達成できない。
ベテランロケットエンジニアが以前からぼやいていた。
「一体、いつからロケットを作る人よりも、ロケットを論じる人のほうが多くなってしまったのだろうか……」
できる限り空白期間を作らないことが、安全保障の面でも、日本の存在感を示すという意味でも大事だ。