頭痛や麻痺は、脳出血や脳梗塞の可能性も

健診では直接的に脳の検査をすることがありません。

ちなみに「脳卒中」というのは病名ではなく、くも膜下出血、脳梗塞、脳出血の3つまとめた1つのカテゴリーを意味します。

よくある、注意したい症状は頭痛です。ただ、頭痛といっても、今までにないような種類の痛みがあらわれます。とくに、くも膜下出血ではじわじわ締めつけられる痛さではなく、急に人生最大の痛みがあらわれます。このような、これまでに経験したことがないような頭痛があった場合は、躊躇せずに救急車を呼んで病院に行ってください。

脳梗塞や脳出血の場合は、頭痛はあまりなく、最初は麻痺まひが目立ちます。体の右側だけ、または左側だけが動きにくくなったり、ろれつが回らずしゃべりにくくなったりという症状は危険信号です。1分間くらい短時間だけ起きて、そのままおさまることもありますが、脳内の血管が詰まりかけている可能性が高いので、これも救急車です。すぐに脳神経外科を受診してください。

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心電図でキャッチできない不整脈もある

健診では心電図を取ることも多いのですが、これも過信は禁物です。

心臓の疾患でやっかいなのが、心房細動、いわゆる不整脈の一種です。これは、心臓を動かす電気信号の乱れで起こるもので、心臓の上にある心房が小刻みに震えることで、脈拍が乱れて不整脈が起きます。

高血圧や糖尿病などの生活習慣病があると発生しやすくなりますが、生活習慣病がない人でもなる可能性があります。動悸どうきや息切れ、疲れやすいなどの症状があることもありますが、自覚症状がない場合もあり厄介です。

この不整脈があると、心臓の中に血栓、つまり血の塊ができやすくなります。そして、できた血栓が脳に運ばれ、脳の血管に詰まって脳梗塞になる可能性が高まります。

心電図は、心臓の活動の様子を調べるものなので、不整脈があればわかりそうなものなのですが、必ずしもそうではありません。この心房細動は、24時間ずっと出ている人もいれば、発作性心房細動といって一時的にしか出ない人もいるからです。健康診断の心電図検査は、1分ほどの短時間の心臓の動きを見るだけなので、たまたまそのタイミングで異常をとらえなければ「問題なし」という結果になってしまうのです。