過酷な熱波で喉も枯れて、お笑い芸人として舞台に立つときも声が出なかった。そこから2年ほど経ち、もう一度アウフグースをやるためにスカイスパ所属を決意する。

「スカイスパでは、金代表が本場から持ってきたアウフグースの技術を勉強し直しました。そして2019年ごろから入館料とは別料金でショーアウフグースを始めました」

「一生懸命タオルを振るだけでは駄目」

箸休めサトシ氏のショーは「カリブの海賊」や「ドラゴンクエスト」など、コンセプトがある。彼は世界のアウフグースに触れた数少ない一人でもある。

「金代表、五塔熱子氏と2019年にオランダへ行き、世界のアウフグースを目の当たりにして、アウフグースの奥深さを知ることができました。今回のアジア予選は本当にうれしいですね。ただ、世界を見てきた分、人にショーを見せるという難しさも痛感しました。一生懸命タオルを振るだけでは駄目で、お客さまに非現実を体感してもらわないといけないのです」

予選大会では個人のほか、団体戦で五塔熱子氏とタッグを組む。「やはり本場を見てきたアドバンテージはあると思います。2019年にオランダで300人の前であおいだ時の審査員が来るので、成長した姿を見せたいです」。

そんな箸休めサトシ氏はプロアウフグースマスター集団の「Aufguss Professional Team」(以下APTとする)のリーダーでもある。APTに所属しているスター諸星氏にも予選への想いを聞いた。

筆者提供
APTメンバー。左から永井テツヤ氏、スター諸星氏、鮭山未菜美氏、箸休めサトシ氏、五塔熱子氏、鈴木陸氏、サウナーけた氏。7月4日、元筑紫野天拝の郷・柴田健太郎氏の加入が表された。

きっかけはテルマー湯でのアルバイト

アウフグースマスターの挑戦②~スター諸星氏~

スター諸星氏もお笑い芸人であり、2016年ころからテルマー湯(東京都新宿区)でアルバイトを始めたことからアウフグースの世界にのめり込んでいく。

写真提供=@ただ(ゆかい)
スター諸星氏。個人演目は「大企業への道」、団体演目は「灼熱の美」

「サウナはもともと好きだったのですが、お金がない。なのでタダで入れるという理由から温浴施設で働き始めました。最初は独学でやっていたのですが、箸休めサトシ氏とコラボする機会があり、アウフグースの基本技を教わりました。その時は『こんな技術があるのか!』と驚きましたね。そこからいろいろな技を練習して、上野の北欧やスカイスパなどに呼ばれて外部でもあおぐようになったのです」

様々な施設で活動をしていく中で技術をさらに高めた彼は、その後APTに加入。そこからアウフグースマスターたちとの交流が始まる。

「いろいろな施設であおぐようになって感じたことは、アウフグースマスターが施設間の橋渡しになることです。そもそも温浴施設同士はライバルですが、僕らがいることで施設の代表同士が交流を持つようになったのです。これまででは考えられないことでした」